雨の日、黒部ダムと黒部の太陽
先日、"黒部の太陽"という映画を見た。
1968年公開であり、私たち平成の学生にとっては古い映画だ。黒部ダムを訪れる際は、是非この映画を見ていただきたい。
映像の奥行き、シーンの切り替わり、石原裕次郎渾身の演技。どれをとっても昨今の映像とは違う。
最近の映画は分かりやすすぎるのではないか。と思ってしまった。少し足りない程度や安っぽい演出こそ、人間の想像力が働き、映像が映像以上の世界を作り出す。
映画に感化された私は、富山県と長野県の県境、黒部ダムに行くことにした。
当日はあいにくの雨で湿度が高く、雲海が黒部を覆い、これはこれで、幻想的な風景ではあったが、残念ながら、立山の絶景を拝むことは叶わなかった。
多少の雨に濡れながら、黒部ダムを見て回った。
黒部ダムには影も多く、よほどの大雨でなければ雨が降っていても十分に楽しめる。
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黒部の太陽、関電トンネルを通って
深夜の大阪発、6時間弱車を走らせる。
道中、訪れたいスポットも全て素通り。(下呂温泉にはいつか必ず行きたい。)(※→2017年現在、念願の下呂温泉にも行ってきた。)
岐阜県旅行(下呂温泉、白川郷) - Written by me
駅・ターミナル案内については以下公式HPを参照していただきたい。
薄暗い朝。標高1400m程度、酸素も地上よりは薄い。息が切れる。良い朝だ。
ここ関電トンネルを走る、日本唯一のトロリーバスは、電気で走るユニークなバスだ。
電気系の学生として、技術力に感動を覚えていた。
バスでは一番前に立ち、車窓からトンネルを眺める。
"黒部の太陽"は、この関電トンネル(大町トンネル)を作る物語を描いた人情ノンフィクション。
涙無しにこのトンネルを通ることはできない。このトンネル建設にどれだけの歴史があったのか。
それは大変な難工事であった。過酷な労働環境に倒れるもの、ダイナマイトで埋もれるもの、破砕帯を撃破できずに沈むもの。歴史について勉強するキッカケを与えてくれる。
実際に黒部ダムには一部、資料の展示がされている。
80mの破砕帯を掘ることに7ヶ月かかった。
どのほど大きな苦労だったのか、私の文章では書くことができない。是非、調べてみて欲しい。
当時の関西電力をはじめ、黒部ダム建設に携わった企業、人達の一丸となって物事に突き進む情熱や忍耐は、私たち現代の若者も見習わなければならない。
そういったことを考えながら、15分程で黒部ダムに到着した。
雨に打たれながら、ダム散策に向かった。
破砕帯の湧き水が飲めるので、飲む。是非、訪れた際は飲んでみてほしい。
日本一高いダムとして知られている黒部ダム、人並みの感想だが、放水の迫力が大きかった。
放水の飛沫、立ちこめる霧、ダムの写真は難しいと痛感しながら、中々思うような一枚が撮れなかった。ダムの撮り方、教えて欲しい。
巨大な建造物にロマンを感じるタイプかどうかは関係無しに、私は困難極めたダム建設をひたすらに想像していた。
P.S.
八サイダーと呼ばれる、破砕帯の水で作られた大町市ご当地サイダー。
道中で飲んだ破砕水の味を思い出す。この水から作ったことが味から十分に伝わる。
糖度抑えめ、固めでスッキリとした後味。三ツ矢サイダーよりも大人の味。
これまたご当地グルメ、ダムカレーを食べた。
正直なところ、私の好きな味ではなかったが、ご当地の味をひたすらに噛み締めていた。